混合ワクチンについて

大切な家族の健康を守るために

ワクチンは、犬や猫が感染症にかからないようにするための大切な予防手段です。病気を未然に防ぎ、健康な生活を送るために欠かせないものです。

混合ワクチンは、いくつかの感染症を一度に予防できるように設計されています。
ワクチンには予防する病気の種類によって、大きく以下の2種類に分けられます。

コアワクチン：世界中で発生していて、感染すると重篤な症状や死亡のリスクがある病気に対して接種が推奨されています。全ての犬や猫に必要とされる基本のワクチンです。
ノンコアワクチン：地域や生活環境によって感染リスクが異なる病気に対するワクチンです。ライフスタイルに応じて、必要性を判断して接種します。

当院のワクチン接種方針について

当院では、世界小動物獣医師会（WSAVA）が推奨している最新のワクチンガイドラインに基づき、ワクチンの接種タイミングを決定しています。このガイドラインでは、病気の予防はもちろん、過剰な接種による副作用や動物への負担を減らすことも重視されています。
2024年度版の内容に基づき、以下のような方法でワクチン接種を行っております。

『犬の場合』
1.生後16週齢未満の子犬
　-8〜10週齢から初回ワクチンを開始
　-3〜4週間おきに16週齢を越えるまで接種
　-26~52週齢で追加接種（ブースター）
　-以降、コアワクチンは3年ごと、ノンコア（レプトスピラ4種）は年1回接種

2.成犬
　-初年度：コアワクチンは1回、ノンコアは2回（3〜4週間隔）
　-以降：コアワクチンは3年ごと、ノンコア（レプトスピラ4種）は年1回接種

3.抗体価検査を行う場合
　-子犬の最終ワクチンや成犬初年度の接種から4週以上経過後に検査
　-陽性なら免疫が十分獲得できていると判断。コアワクチン接種時期を延長。
　-陰性なら追加接種

『猫の場合』
1.生後16週齢未満の子猫
　-8〜10週齢で初回ワクチンを開始
　-3〜4週間おきに16週齢を越えるまで接種
　-26~52週齢で追加接種（ブースター）
　-以降、感染リスク低ければ3年ごと、感染リスクがある場合は年1回の接種

2.成猫
　-初年度：3〜4週間おきに2回接種
　-以降、感染リスク低ければ3年ごと、感染リスクがある場合は年1回の接種

基本的にワクチン接種の方法は「みんな同じ」というわけではなく、その子の体質や生活環境に合わせて行うことが大切です。気になることや、ご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。


ワクチン接種について、より詳しい内容にご興味ある方は、ぜひこのまま続きをお読みください。

子犬・子猫ワクチン接種について

子犬子猫の時期には、ワクチン接種の回数が多くなります。これは、母親からもらった移行抗体の影響を受けるためです。

移行抗体は成長とともに減っていきますが、残っているうちはワクチンの効果を妨げてしまいます。そのため、免疫がしっかりと獲得できることがわかっている生後16週齢以降まで、繰り返し接種を行う必要があるのです。

また、これまでは最終接種後、1歳齢でブースターを行っていましたが、まれにワクチンの免疫がうまくつかない子（ローレスポンダーやノンレスポンダー）がいることが分かってきました。そういった子たちは、従来の接種方法だと1歳齢になるまでの半年以上、病気に対して弱い状態が続くことになります。そのため、ワクチンの効果がしっかり出ている子には免疫強化の「ブースター」として、免疫がつかなかった子には効果がしっかり出るように、最新のガイドラインでは26週齢（約6〜7ヶ月齢）での追加接種が推奨されています。

成犬・成猫の再接種について

【犬の場合】
コアワクチンについては、しっかりと免疫がついていれば3年以上間隔を開けることが可能です。一方、ノンコアワクチンは長期間の免疫維持が難しいため、年1回の追加接種が必要になります。

【猫の場合】
猫もコアワクチンは3年ごとの接種が推奨されていますが、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスは完全に感染を防ぐことは難しく、症状の軽減にとどまります。

そのため、ペットホテルの利用や多頭飼育、屋内外の出入りがある場合には、1年ごとの接種で免疫を高く維持することが望ましいとされています。

抗体価検査について（犬）

ワクチンの効果がどれだけあるかを確認する方法として、抗体価検査があります。
必要に応じて血液検査で確認することできますので、ご希望の方は、スタッフまでご相談ください。
この検査により、以下のようなことが分かります。

・子犬期にしっかり免疫がついたかどうか
・成犬でワクチン接種の間隔を延ばせるかどうか
・ワクチンに反応しにくい体質かどうか

検査は最終ワクチン接種から4週間以上経過後に行います。
結果が陽性であれば、十分な免疫が確認できているため追加接種を行わずに済みます。

ちなみに、陰性だった場合は以下のような理由が考えられます。
・移行抗体がワクチンの効果を妨げた
・ワクチン製剤の問題
・遺伝的、体質的な要因（ローレスポンダーやノンレスポンダー）
その場合、追加接種を行って、改めて再検査を行ってみることをお勧めします。

ご相談はお気軽にどうぞ

繰り返しになりますが、基本的にワクチン接種の方法は「みんな同じ」というわけではなく、その子の体質や生活環境に合わせて行うことが大切です。気になることや、ご不明な点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。