2010.01.26(火)
ウンチがなかなか出ず、出てもぺっちゃんこなんですという主訴で来院したラブちゃん。近くの先生のところで直腸の内診をしてもらい、直腸に腫瘍があるのではないかということで、内視鏡の検査をと言うことで紹介でALOHAに来られました。
まずはラブちゃんの直腸を内診してみると・・・確かに大きなものがあって、腸が狭くなっています。ただ、腸の中ではなく、腸の外から押されているように感じたので、飼い主さんに内視鏡の検査ではなく、CT検査をおすすめしました。
CTの結果・・・ラブちゃんの骨盤の中には大きなしこりがあって、それが腸を圧迫してウンチの通りが悪くなっていることが確認されました。
写真がCT検査の画像で、「mass」と書いてあるのがラブちゃんの骨盤腔内にできたしこりで、結腸を矢印のように圧迫しているのがよくわかると思います。
このままでは、もっとウンチが出にくくなってしまい、大変なことになってしまいます。そこで飼い主さんとご相談の上、手術で摘出することになりました。事前にしこりの細胞診の結果、脂肪腫の可能性が高いと思われていましたので、場所的には手術の難しい場所ですが、おそらく切除できると考えていました。ただ、CTで一部癒着があるように見えるのだけが気になっていました。
しかし、手術は問題なく終了しました。
写真は手術後の写真です。骨盤のなかのしこりが無くなって、結腸の圧迫が取れているのがよくわかると思います。
診断はもちろん、手術前に手術の内容などをシュミレーションできるという意味でも、このラブちゃんのような病気にもCTは非常に有効な検査です。
2009.12.29(火)
IBD(炎症性腸疾患)という病気をご存じですか?
6ヶ月も下痢が止まらないという主訴で来院されたリキちゃん、まだ1歳の柴犬です。リキちゃんは今まで別の病院でずっと治療を受けていたと言うことでしたが、どんな薬を使っても全く下痢が止まらないと言うことでした。
このような場合、慢性下痢と言うことになりますから、炎症性腸疾患やリンパ管拡張症、膵外分泌不全、リンパ腫、食物過敏症など様々な慢性下痢を起こす病気を考えていかなければいけません。
リキちゃんの場合、今までの治療経過などから考えて、まず飼い主さんに内視鏡下での腸の生検を提案しました。半年間も下痢が続く事に飼い主さんもなんとかしてあげたいと思われていましたので、すぐに生検に同意していただきました。内視鏡で十二指腸、胃、結腸をあわせて20カ所程度生検し、組織検査に出しました。組織検査の結果、リキちゃんは重度のリンパ球形質細胞性腸炎と診断されました。
リキちゃんは食事療法と腸内細菌のコントロールである程度は症状が改善しましたが、まだ少し便の回数が多いと言うことで、先日からステロイドの投与を開始しました。あとはステロイドの量を減量しながらコントロールしていかなければいけません。
症状の程度は様々ですが、炎症性腸疾患は意外に多い病気です。診断は生検でしかできませんので、慢性的な嘔吐や下痢を起こしている子は内視鏡での生検を主治医の先生に相談してみてあげてくださいね。
関連タグ:IBD 炎症性腸疾患 リンパ球形質細胞性腸炎
2009.12.28(月)
なんか、久しぶりのブログです。
前に書いたのがDr.Nicholsのセミナーの時ですから、3週間ぶりくらいのブログですね。
ブログに書くことはたくさんあるのですが、この2〜3週間は非常に忙しく、また重傷の子を見る機会が多くて、なかなかMacに向かう時間が取れませんでした。
先日から入院しているメキシカンへアレスのジェロニモ君。すごく珍しい犬種です。2日前からの嘔吐を主訴に来院されたのですが、エコーで腸閉塞像が認められ、白血球、CRPの上昇から腹膜炎の併発も疑われたため、緊急手術を行いました。腸閉塞を起こしていたものは靴下だったのですが、閉塞している部分の腸はすでに壊死(くさってしまうこと)しており、非常に広範囲の癒着を起こしていました、また、事前に血液検査で予想していたとおり、腸が壊死、穿孔することで腹膜炎を起こし、お腹の中には膿汁がたまっていました。癒着を丁寧にはがし、壊死した部分の腸管を切除して吻合(つなぎあわせること)しました。大網や脾臓と重度の癒着があり、汚染もひどかったため、腸管の切除、吻合と併せて、大網と脾臓の摘出も行い、腹腔内を洗浄してドレーンを装着して手術を終えました。腹膜炎のコントロールも順調で2日目にはドレーンを抜くことができ、明日には退院できそうです。でも、ジェロニモ君はこの靴下を少し前に食べてしまったということでした。きっと胃内にあって、何かのきっかけで流れて腸閉塞を起こしたのでしょう。もし、その食べたときに診察をしていたら、内視鏡で取り出すだけですんだかもしれません。
年末や年始など、異物や骨付き肉などによる食道梗塞や腸閉塞が毎年のようにあります。気をつけてあげて下さいね。
ALOHAは12月31日午前中まで診察していますし、1月1日〜3日はあそう動物病院には午前中のみ獣医師が待機しております。急患の場合はご連絡下さい。
写真はクリスマスにうちのプーちゃんとタン君にあげたクリスマスケーキです。僕も一口もらいましたが、チーズの味が濃厚でした。2匹とも、すごくおいしそうに食べていました。
2009.12.02(水)
先日椎間板ヘルニアの手術をしたM・ダックスのココちゃん。今日はリハビリで来院です。
ココちゃんはグレード4の椎間板ヘルニアでCT検査と手術を行いました。術後の回復が少し遅くて、術後一週間の退院時に、まだ自分で立つことができなかったんですが(ほとんどの子は退院の時に自分で立つところまで回復していることが多いんですが)、術後2週間の今日はかなり神経学的に回復してきていて、プールの中では自分で歩行可能でした(^_^)。
歩けるようになるのはもうすぐですね。
ココちゃんは、入院してすぐは、病院が怖かったのか、なかなか病院スタッフに心を開いてくれませんでした。でも、時間があるたびに僕がだっこしたり、みんなが声をかけてくれたおかげで、入院4日目くらいからとってもフレンドリーになってくれました。今日も僕の顔を見ると、一目散にかけてきてくれました。お〜覚えてくれてたんか〜。ほんと、うれしいです(T_T)。こういう動物と心をかよわせる事って、リハビリにはとっても大切ですね。リハビリ中も僕の歩く方にプールの中で動き回っていました。個人的には、ココちゃんを回復させたのは、僕の「抱っこ療法」だと自負しています。
椎間板ヘルニアの手術後の成績が非常にいいのも、CTの検査や手術手技もあるとは思いますが、こういう部分も大切だと思っています。
2009.11.12(木)
最近なんとなく食欲がないということで来院したヨーキーのアル君。食欲がないと言っても、与えた食事を全部食べるのですが、いつもの勢いがないと言うことでした。
でも、飼い主さんにはもう一つ気になることがありました。それは数週間前にアル君が串を飲み込んだ可能性があるからです。
そこで、念のためにレントゲンを撮影してみましたが、レントゲンには大きな異常は認められませんでした。
飼い主さんは非常に心配されており、積極的な検査を希望されましたので、CTを撮影することになりました。
そしてCTを撮影してみると・・・見事に胃の中いっぱいにある串が映し出されました。また、その串の一部は胃を貫通して、数センチ胃の外に出ていることもわかります。こういう状態であれば内視鏡で取るのは難しくなりますので、開腹手術で串を取り出しました。
串はCTで写ったとおり、胃から数センチ飛び出していました。幸い肝臓や脾臓に刺さってはいませんでしたので、大事にならずにすみました。
このようにCTもレントゲンを同じX線ですが、CTはレントゲンに比べて、格段に多くの情報を得ることが出来ます。そのため、お腹のなかの腫瘍であれば、どこから由来の腫瘍かということや、周囲の臓器の癒着具合など、またレントゲンには写らない肺転移などもCTなら発見する確率は格段に上がります。
なんでもかんでもCT検査という訳ではありませんが、有効に使うことで、非常にたくさんの情報を得ることができる器械です。
でも、アル君・・・食いしん坊のせいで、大変な事になるところでした。これでまたいつものようにおいしく食事ができるね。




