2010.10.17(日)
今日は朝1番のセミナーで東京へ!
高濃度ビタミンC点滴療法の国際シンポジウムに行ってきました。みなさん、高濃度ビタミンC点滴療法って知ってますか?たぶん、ほとんどの人がご存じないでしょうね。
簡単にいうと大量のビタミンCを点滴で投与して、血中濃度をある一定のところまで上昇させると抗癌作用があることを利用した治療で、始めて報告されたのは30年以上前なんですが、ここ数年、日本でも人の癌の治療として徐々におこなわれ始めています(アメリカではかなりの数の患者さんがこの高濃度ビタミンC点滴療法を受けているそうです)。ただ、まだ自由診療になるため保健適応にならず、また、その作用機序のすべてが解明されていないため、今はまだどちらかというと癌の標準治療ではなく(いわゆる標準療法は手術、放射線、化学療法です)、代替療法に近い位置づけです。
ただ、数年前からアメリカの腫瘍の専門医のセミナーで少しこの治療の事が気になっていて、いろいろ調べ、やっとうちでもこの治療ができるようになりました。
この高濃度ビタミンC点滴療法の良い点は、重篤な副作用が出る可能性がほとんどない事と、単独での使用だけでなく標準療法(先程も書きましたが手術、放射線、化学療法)と併用することでそれらの効果を高めたり、標準療法の副作用を軽減できる事です(たとえば抗がん剤の副作用を軽くしたり、放射線治療による皮膚や粘膜の副作用を軽減する)。
そして何よりも生活の質(QOL)を改善することができるというのがいいですよね。
この高濃度ビタミンC点滴療法の学会に僕が入会したときに獣医師は3人しかいないと言われましたが、今日のシンポジウムには7名の獣医師が参加していました。きっとみんな、僕と同じように副作用が少なく、動物と飼い主さんが少しでもいっしょに暮らせる治療を模索しているんですね。今は、この治療が受けられる動物病院は全国にほんの数件ですが、きっと近い将来たくさんの動物病院でこの治療が受けられる日が来ると思います。
うちも標準療法はもちろんですが、この高濃度ビタミンC点滴療法と免疫療法も治療の選択肢として飼い主さんに選んでもらえるようになって、治療の巾が広がりました。
投稿者:院長
2010.09.29(水)
カテゴリー: 再生医療
では、昨日の幹細胞移植に続いて、今日は「活性化リンパ球療法」について書きます。
これは幹細胞の移植と違って、基本的には癌などの悪性腫瘍に対する治療になります。
みなさんは、癌の治療というと何を思い浮かべますか?まずは手術ですよね。では次に思い浮かぶのは?そうです、抗がん剤などの化学療法ですね。それ以外に、動物でも最近は比較的おこなえるようになった放射線療法があります。この「手術」「化学療法」「放射線療法」が癌に対する主な治療として、昔からおこなわれてきました。おそらくそれは今後も大きく変わることはないと思います。そこに第4の治療法として「活性化リンパ球療法」などの「免疫療法」や「温熱療法」などがおこなわれています。
では、次に癌の治療を「局所療法」と「全身療法」という考え方で考えてみましょう。「局所療法」とはいわゆる今問題になっているしこりに対する治療で、たとえば皮膚にできている肥満細胞腫や、乳腺に出来ている乳腺腫瘍などのしこりに対する治療です。「手術」や「放射線療法」がこの局所療法になります。「全身療法」とは今問題になっているしこりだけでなく、全身の様々な場所に転移した癌に対する治療です。その転移はしこりになっている場合もありますし、肉眼では見えない細胞レベルのこともあります。抗がん剤を使用した「化学療法」がこの全身療法になります。
では、「活性化リンパ球療法」はどちらになるかというと、化学療法と同じ「全身療法」になります。
つまり、今まで全身療法の選択肢は抗がん剤による化学療法しかなかった部分に、新しい選択肢として「活性化リンパ球療法」を使うことができるようになったということです。
化学療法は人でもあたりまえのようにおこなわれる治療です。でも、実はすべての癌に対して効果があるわけではありません。リンパ腫のようにかなりの効果が期待できるものもあれば、効果のほとんど認められない癌もあります。でも、もし転移があったら、化学療法しか現実的な選択肢がないので、効果があるかわからないけど可能性にかけた治療として化学療法がおこなわれることが少なくありません。確かにそれで効果が上がることもあれば、逆に抗がん剤の副作用で苦しむ場合もあります。これに比較して、活性化リンパ球療法は自分の血液の中のリンパ球を外で増やして体に戻す治療なので、抗がん剤に比べて副作用がほとんどないのが特徴です。
僕は化学療法を否定しているのではなく、今でも化学療法は日常的によくおこなっていますし、これからもやっていくでしょう。でも選択肢の1つとして活性化リンパ球療法はとてもいい治療だと思っています。
活性化リンパ球療法は大きな癌を縮小させたりする力はありません。でも、癌の進行を遅くしたり、動物の生活の質を上げたり、痛みをとる作用が報告されています。
人でもよく言われていますが、癌と闘うために、手術をしてそのあと抗がん剤を使ってずっと入院というのも選択肢の1つですが、癌が完治できなくても、入院をせずに、旅行や親しい人との時間を大切に過ごすという選択肢もあってもいいと思うんです。
この子の癌は治らなかったけど、最後まで元気そうで、飼い主さんといっしょに過ごせて、飼い主さんもとても満足してもらえたという治療があってもいいと思うんです。
日々、たくさんの癌の患者さんと接していると、今できる可能な限りの治療(たとえば手術をして、抗がん剤を使ったり、場合によっては放射線もしたり)をしていても、動物がつらいだけで、飼い主さんも疲れ果て、最後にその子が亡くなったときに、「もう動物は飼いません」といわれる事があります。僕たちにとって、こんなにつらいことはありません。だって、動物との生活はとっても楽しいのに、その楽しさ以上の苦しみを飼い主さんに与えたことになるからです。
少しでも動物たちに、長く飼い主さんの側にいさせてあげたいと思う気持ちで治療をすることが、逆に動物と飼い主さんを苦しめていたんじゃないかと自分を責めることもあります。
だからこの活性化リンパ球療法をやりたかったんです。動物に負担がほとんどなく、動物の免疫を高め、生活の質を維持する可能性のある治療。他の治療とも併用ができ、相乗効果が期待できる治療。
これが僕のやりたかった、第4のガン治療「活性化リンパ球療法」です。
今もAnimal Care-Hospital ALOHAのインキュベーター(培養器)には何匹かの患者さんのリンパ球が培養されています。たくさんのリンパ球や幹細胞の培養で、インキュベーターがいっぱいいっぱいになったため、急遽インキュベーターのたなを増やすことになりましたが、どの子の血液も、少しでも多くのリンパ球が増えるように、大切に大切に培養しています。そしてそのリンパ球を動物たちに返すとき、「がんばって癌と闘ってこい」という気持ちで送り出しています(というか自然とそういう気持ちになるんですよね)。
下の画像は培養中のリンパ球です。赤色の培養液の中で、小さい白いものがふよふよ動いているのが分かりますか?これが増えているリンパ球です。体内に入って、がん細胞と闘う小さな小さな兵隊達です。
がんばれ〜って気持ちになりませんか?
なんか、昨日の幹細胞といい、今日の活性化リンパ球療法といい、僕の思いが強すぎて、全然説明になっていませんね(^_^;)。まあ、細かいことを説明しているサイトはたくさんありますので、こういう思いを使えるのもいいですよね?
投稿者:院長
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