2010.10.05(火)
昨日、うちで飼っている「あーちゃん」という猫が亡くなりました。
あーちゃんは、僕が病院を開院したときに、知り合いの先生の所にブリーダーさんが放棄した猫としていた子をゆずってもらいました。
もう出産をさせない程度の年ですから、何歳ぐらいだったんでしょう。見た目もまあまあ年をとっている感じでしたが、それから12年になりますから20歳くらいにはなってたかもしれません。
あーちゃんはメインクーンという種類の猫で、本当にいい猫でした。僕がメインクーンが好きになったのも、あーちゃんがいたからだと思います。
でも、不思議な感じがします。なぜか、自分の周りにいる動物たちは、ずっと自分のそばにいてくれるような錯覚を感じていました。あーちゃんが亡くなるなんて、つい最近まで考えてもいませんでした。すごく年をとったけど、いつもあーちゃんは、あのがらがら声で鳴いている気がしていました。
最近、僕がトイレに行ったりすると、ドアが閉まる前に一生懸命入ってこようとしていました。昔はそんなこと全然しなかったので、「あーちゃん、なにやってるの」って笑っていたけど、なにか不安だったのかもしれません。
「あーちゃん、まだまだ一緒にいれると思ってたから、最近、あたまをあんまりなでなでしてなかったよ。ごめんね。本当にいい子だったね。うちに来てくれて本当にありがとう。
投稿者:院長
2010.10.01(金)
先日活性化リンパ球療法と幹細胞移植の事を書きましたが、今日も幹細胞の移植をおこないました。といっても、今日は幹細胞を増やすための脂肪の摘出をおこないました。
チワワのウッディー君は、突然の四肢麻痺で来院されました。MRIの検査で原因は不明なものの、急性の脊髄炎と診断され、その後、リハビリをがんばってきました。飼い主さんはとても献身的に介護もされ、積極的にリハビリをおこなっていますが、若干の改善はあるものの、半年以上たった今でも、まだ歩くことはもちろん、ふせの姿勢もとることができず、寝たきりの状態です。そこで可能性にかけて、幹細胞の移植をおこなうことになりました。
毛を5cmほど刈って、局所麻酔薬を注射し、消毒をして、特殊な器具で皮下脂肪を少しだけ採取し、培養を開始しました。培養した幹細胞をリッキー君に戻すのは2週間先です。ウッディー君は発症してすでに半年以上たっていますが、リハビリをがんばったおかげで筋肉は全くと言って良いほど落ちていません。だから十分可能性があると思っています。
この子はチワワのチビちゃん。
チビちゃんは昔から皮膚病に悩まされていたそうです。ALOHAに来院されたときには全身の多くの毛が脱毛し、ステロイドの影響から皮膚もぺらぺらになり、何カ所も出血を起こすほど掻いていて、元気もなく本当にひどい状態でした。写真からはそんなふうには見えないと思いますが、ものすご〜く良くなったんですよ。
飼い主さんも今までのステロイド中心の治療はもうしたくないというご希望でしたので(というか、明らかにステロイドによる副作用を併発していましたから、使いませんが)、ステロイドなどの強いお薬を使わずに治療をすることになりました。まずは全身の二次感染をコントロールし、おうちでスキンケアをがんばってもらいました。数ヶ月後には、全身の毛はかなり発毛し、まだ痒みはあるものの、見違えるくらい元気になりました。ただ、夏などには一時的に皮膚の状態が悪化することと、抗生剤などの二次感染の薬がなかなか減薬できないことから、飼い主さんとご相談し、減感作療法を今日から開始しました。
多くのアレルギーの治療が薬などで症状を抑えるだけの対症療法的な治療なのに対して、減感作療法はアレルギーを体に起こす物質に体を慣れさせていくという治療で、アレルギーを直接治療する方法です。WHO(世界保健機構)でも、減感作療法は「アレルギーの自然治癒を促す唯一の治療法」であり、また、「新たなアレルギーの発症を予防する予防的治療法」といっており、日本ではなぜか積極的におこなわれていませんが(花粉症に対してはおこなわれています)、欧米では人、動物共にアレルギーの治療として広くおこなわれています。
Animal Care-Hospital ALOHA、あそう動物病院ではアレルギーの治療として、この減感作療法も積極的におこなっています。
チビちゃんは今日が減感作療法の初日だったので、朝から夜までお預かりし、状態を確認しながら減感作をスタートしました。減感作療法は副作用は非常にまれですが、チビちゃんも副作用などはなく、無事減感作療法の初日を終えました。今後は定期的に通院してもらいながらの治療になります。
今よりも、もっと快適に過ごせるようになって欲しいです。チビちゃん、もう少し注射しないといけないけど、がんばろうね。
投稿者:院長
2010.09.29(水)
カテゴリー: 再生医療
では、昨日の幹細胞移植に続いて、今日は「活性化リンパ球療法」について書きます。
これは幹細胞の移植と違って、基本的には癌などの悪性腫瘍に対する治療になります。
みなさんは、癌の治療というと何を思い浮かべますか?まずは手術ですよね。では次に思い浮かぶのは?そうです、抗がん剤などの化学療法ですね。それ以外に、動物でも最近は比較的おこなえるようになった放射線療法があります。この「手術」「化学療法」「放射線療法」が癌に対する主な治療として、昔からおこなわれてきました。おそらくそれは今後も大きく変わることはないと思います。そこに第4の治療法として「活性化リンパ球療法」などの「免疫療法」や「温熱療法」などがおこなわれています。
では、次に癌の治療を「局所療法」と「全身療法」という考え方で考えてみましょう。「局所療法」とはいわゆる今問題になっているしこりに対する治療で、たとえば皮膚にできている肥満細胞腫や、乳腺に出来ている乳腺腫瘍などのしこりに対する治療です。「手術」や「放射線療法」がこの局所療法になります。「全身療法」とは今問題になっているしこりだけでなく、全身の様々な場所に転移した癌に対する治療です。その転移はしこりになっている場合もありますし、肉眼では見えない細胞レベルのこともあります。抗がん剤を使用した「化学療法」がこの全身療法になります。
では、「活性化リンパ球療法」はどちらになるかというと、化学療法と同じ「全身療法」になります。
つまり、今まで全身療法の選択肢は抗がん剤による化学療法しかなかった部分に、新しい選択肢として「活性化リンパ球療法」を使うことができるようになったということです。
化学療法は人でもあたりまえのようにおこなわれる治療です。でも、実はすべての癌に対して効果があるわけではありません。リンパ腫のようにかなりの効果が期待できるものもあれば、効果のほとんど認められない癌もあります。でも、もし転移があったら、化学療法しか現実的な選択肢がないので、効果があるかわからないけど可能性にかけた治療として化学療法がおこなわれることが少なくありません。確かにそれで効果が上がることもあれば、逆に抗がん剤の副作用で苦しむ場合もあります。これに比較して、活性化リンパ球療法は自分の血液の中のリンパ球を外で増やして体に戻す治療なので、抗がん剤に比べて副作用がほとんどないのが特徴です。
僕は化学療法を否定しているのではなく、今でも化学療法は日常的によくおこなっていますし、これからもやっていくでしょう。でも選択肢の1つとして活性化リンパ球療法はとてもいい治療だと思っています。
活性化リンパ球療法は大きな癌を縮小させたりする力はありません。でも、癌の進行を遅くしたり、動物の生活の質を上げたり、痛みをとる作用が報告されています。
人でもよく言われていますが、癌と闘うために、手術をしてそのあと抗がん剤を使ってずっと入院というのも選択肢の1つですが、癌が完治できなくても、入院をせずに、旅行や親しい人との時間を大切に過ごすという選択肢もあってもいいと思うんです。
この子の癌は治らなかったけど、最後まで元気そうで、飼い主さんといっしょに過ごせて、飼い主さんもとても満足してもらえたという治療があってもいいと思うんです。
日々、たくさんの癌の患者さんと接していると、今できる可能な限りの治療(たとえば手術をして、抗がん剤を使ったり、場合によっては放射線もしたり)をしていても、動物がつらいだけで、飼い主さんも疲れ果て、最後にその子が亡くなったときに、「もう動物は飼いません」といわれる事があります。僕たちにとって、こんなにつらいことはありません。だって、動物との生活はとっても楽しいのに、その楽しさ以上の苦しみを飼い主さんに与えたことになるからです。
少しでも動物たちに、長く飼い主さんの側にいさせてあげたいと思う気持ちで治療をすることが、逆に動物と飼い主さんを苦しめていたんじゃないかと自分を責めることもあります。
だからこの活性化リンパ球療法をやりたかったんです。動物に負担がほとんどなく、動物の免疫を高め、生活の質を維持する可能性のある治療。他の治療とも併用ができ、相乗効果が期待できる治療。
これが僕のやりたかった、第4のガン治療「活性化リンパ球療法」です。
今もAnimal Care-Hospital ALOHAのインキュベーター(培養器)には何匹かの患者さんのリンパ球が培養されています。たくさんのリンパ球や幹細胞の培養で、インキュベーターがいっぱいいっぱいになったため、急遽インキュベーターのたなを増やすことになりましたが、どの子の血液も、少しでも多くのリンパ球が増えるように、大切に大切に培養しています。そしてそのリンパ球を動物たちに返すとき、「がんばって癌と闘ってこい」という気持ちで送り出しています(というか自然とそういう気持ちになるんですよね)。
下の画像は培養中のリンパ球です。赤色の培養液の中で、小さい白いものがふよふよ動いているのが分かりますか?これが増えているリンパ球です。体内に入って、がん細胞と闘う小さな小さな兵隊達です。
がんばれ〜って気持ちになりませんか?
なんか、昨日の幹細胞といい、今日の活性化リンパ球療法といい、僕の思いが強すぎて、全然説明になっていませんね(^_^;)。まあ、細かいことを説明しているサイトはたくさんありますので、こういう思いを使えるのもいいですよね?
投稿者:院長
2010.09.27(月)
カテゴリー: 再生医療
Animal Care-Hospital ALOHAではついに念願の「活性化リンパ球療法(CAT療法)」と「幹細胞移植」を開始しました。
活性化リンパ球療法と幹細胞移植をやりたかったのには訳があります。
たとえば椎間板ヘルニアのグレード5で来院された子に、手術をし、確かに70%以上の子は歩くことができるようになります。それは本当にうれしいことですし、飼い主さんにも喜んでいただけます。でも、グレード5まで進行していると、残りの30%近くの子は、手術をしても神経学的な改善は認められません(グレード4まではもっと改善率がいいのですが)。少しでもその子達に歩けるようになって欲しいと思い、数年前からリハビリを積極的に行い始めました。確かにリハビリの効果はすばらしく、リハビリをがんばったから歩けるようになった子もいます。
でも、でも、それでも歩けない子もやはりいるんです。リハビリで脊髄反射を強めて、脊髄歩行を促そうとしても、脊髄反射は強くなるものの、歩行までいけない子もいます。
その子達を歩けるようにしてあげたいという気持ちで、次に目指したのが幹細胞移植です。
みなさんも、テレビなどで見られたことがあるのではないでしょうか?脊髄損傷で歩けなかった人が幹細胞移植をして歩けるようになったシーンを、糖尿病でインスリンの注射が必要だった人が幹細胞移植をおこなってインスリンの注射がいらなくなったニュースを、腎不全のマウスに幹細胞を移植して腎機能が正常になったというニュースを。
幹細胞移植には今までの医学では助けることのできなかった患者さんを救うことのできる可能性があると思っています(もちろん万能ではありません)。
幹細胞を移植することで、歩けるようになる子がいるかもしれない・・・そう思うと幹細胞移植を始めたいという気持ちが抑えきれなくなっていました。幹細胞移植のトレーニングに行く日程がなかなか調整がつかず、実際ははじめようと思い立ってから、実際にできるようになるまでに半年かかってしまいましたが、ついに幹細胞移植をスタートすることができました。
幹細胞移植というと(特に移植という文字があるので)ものすごく大変な事と、思われるかもしれません。でも、幹細胞移植をおこなうには、その子のパチンコ玉程度の皮下脂肪(局所麻酔で採取します)または1ccの骨髄液(短時間だけ麻酔が必要になります)があればOKです。採取させてもらった皮下脂肪や骨髄液を大切に、そして無菌的に培養して、その中に含まれている幹細胞を増やし、点滴などで体内に戻すだけなんです。手術などが必要なわけではありません。
今、原因不明の急性の脊髄炎の子、熱射病で間脳と大脳に障害を起こした子、椎間板ヘルニアの子が幹細胞の移植の準備に入っています。
この子達が立って、歩けるようになったら・・・泣いちゃうな、きっと。
なんか幹細胞移植で盛り上がってしまって活性化リンパ球療法について書けませんでした。こちらは、また次回(^_^)ノ
投稿者:院長
2010.09.06(月)
帝京大学附属病院で多剤耐性アシネトバクターによる院内感染によって多くの方が亡くなられたニュースはみなさんご存じだと思います。
細菌と抗生物質はよくいたちごっこと言われますが、新しい抗生物質が開発されると、さらにそれに耐性をもった細菌が出てくるという、まさにいたちごっこです。
これはとても深刻な問題で、やみくもに新しい抗生物質を使ったり、意味もなく長期間使ったりすることはよくないと言われています。
当院でも抗生物質の使用には一定のルールを設けており、新しく、効果の高い抗生物質を使う前には薬剤感受性検査を行って、その薬以外効果のある抗生物質がない場合だけ、使用することにしています。
薬剤感受性検査というのは、原因となっている細菌に、どの抗生物質が効果があるかを調べる検査です。この検査をおこなうためには、それぞれの薬剤の感受性ディスクというものが必要になります。
そのため、当院では病院で使用しているすべての抗生物質の薬剤感受性を行うための感受性ディスクを院内に常備しています。
そんななか、ちょっとショックな出来事がありました。マルボフロキサシンという抗生物質の感受性用ディスクがなくなるというのです。マルボフロキサシンはファイザー社が動物用に販売しているニューキノロン系の抗生物質で、動物病院ではよく使われる薬です。動物用なので、市販されている感受性ディスクはなく、販売元のファイザー社から配布してもらうしかありません。今まではそのような形で配布してもらって、感受性検査をかけていましたが、今後、薬の販売は続けるものの、感受性ディスクはつくらないという方針のようです。
おそらく人ではこのような事はあり得ないと思います。「感受性はできませんが、ばんばん使って耐性菌をつくって下さい」と言ってるようなものですから。
ファイザー社にはコンベニアという1回注射すると2週間効果が持続する抗生物質もあります。一度の注射で2週間の投薬が必要ないと言うことで、ものすごく売れているそうです。当院でも使用はしていますが、あまり積極的には使っていません。なぜかというと、このコンベニアも感受性ディスクがないからです。
薬剤耐性菌を少しでも作らないためには、感受性検査はとても大切な検査です。その感受性検査のできない抗生物質を販売し続けるというのは抗生剤をつくる会社の姿勢としてはどうなんでしょうか?
確かに人の医療と違って、感受性検査をおこなっている動物病院はそれ程多くはないかもしれません。でも、抗生物質を販売する会社の責任として、感受性検査ができるようにするべきだと思います。多くの獣医師がこのことをファイザーに指摘して、マルボフロキサシンとコンベニアの感受性ディスクが早く作られるようになることを祈っています。
あまりに時代に逆行したできごとだったので、愚痴っぽくなってしまったので、最後に楽しい話題を・・・。
今月の19日に松永駅南口で行われるゲタリンピックに参加することは前にも書きましたが、そこで当院のブースではポップコーンと飲み物の販売を行うことに決定しました\(^_^)/
当日、当院の患者さんで、診察券をブースで提示して頂ければ、ポップコーンを無料で差し上げま〜す。
ぜに、遊びに来て下さいね。
投稿者:院長





